公園のベンチに座る2人が何の相談をしているのかといえば、おそらく来週登る山をどこにするかということ。彼らはいつもお揃いの登山靴(色は違う)を履き、お揃いのザック(これまた色は違う)を背負い、お揃いの帽子(これは同じ色)をかぶっている。よく歩きながらナッツやチョコレートを食べているし、雨の日も傘なんてささない。
my favorite song
もう何時間もプレイヤーで、同じ音楽が流れている。それは朝焼けの中、白のグラデーションを纏って生まれてきたもので、こぼれたミルクも、ベッドシーツも、すべてそこに溶け込まされていた。激しいビートなのに静かだった。始まりはすぐに終わりとなり、また終わりが始まりを呼んだ。
hospital
まさかの一日中まちぼうけ、病院の待合室。せめて本でも持ってくればよかったと思いながら、誰かのおしゃべりに耳を傾ける。怒っているのか笑っているのかわからない、文句のようなふざけているような話が聞こえてくる。多分大丈夫、そう思う。
about circle

彼らの会話とは。
full moon
月が明るかったので、迷うことなく歩き続けることができた。いっこうにひかない熱は、目も開けていられないほどだったけど、それでも進んだ。後ろからついてくる存在のことは、あまり気にせずに。圧倒的な沈黙は、体全体で受け取るよう。お守りは新しいもの、水は冷たすぎるくらいで。少し喉が痛いのも、明日になれば落ち着いているだろう。
sandwich
今日のお昼ご飯は、にんじんと紫キャベツのラペがめいっぱいに挟まったサンドイッチ。シロップが結構甘かったジンジャーエールと一緒に。
lemonade stand
図書館を出たところにあるレモネードスタンドの店番が、小さな女の子になっていて、夏の休みに入ったと気づく。もうこの暑さでは、一番大きいサイズのソーダ割り。でもそれすらあっという間に飲み干して、しかし、家までの道はまだまだ遠く。
peaches
市場に行くのが遅かったので、桃をひとつ買うことしかできなかった。控えめに控えめなピンク色で、まだ割と硬め、しかししっかりとした甘い香りを漂わせている。少しだけ冷蔵庫の中で冷やしておくことにする。
afterglow

秘密にしてしまおうと真夜中こっそり小箱に仕舞ったメッセージは、いつのまにか彼女に引っ張り出されていた。それは深い深い青のインクで新しい言葉が上に重ねられ、先に何が書いてあったのか、もはやまったくわからなくなっていた。うらめしそうに紙を眺めるわたしに、「うまくいれられた気がする」と彼女はまったく気にもしない素振りで、温かいお茶を出してきた。
happy birthday
おめでとうとありがとうとまたよろしくお願いしますと。
そしてごめんなさい。
purple and pink
めいいっぱい紫とピンクの空が広がって、雲があちこち好きなように泳いでいる。しかし機嫌の悪い彼女はそんな景色などどうでもいいというふうに、本から目を離さない。
march

渡されている荷物の量や種類はさまざまで。それをそのまま持っているもよし、誰かと交換するもよし、はたまたそれを使ってなにかをこしらえるのもよし。
Good morning! today
おはよう。今日。
昨日とは違うね。
せっかくなので、お日さまが出てくるまで
起きていることにするよ。
books and

彼女がうとうとしているので、横でわたしも寝そべった。小さな寝息はリズムよく、わたしはそれを聴いているだけで安心する。次起きたら、きっと「おなかがすいた」と言うのだろう。夜ごはんは、昨日から煮込んで作ったスープだよ。
blue bottles

古い虫眼鏡でのぞいてみた景色は、知っているような知らないような、でも昔確かにいた場所でした。ずいぶんと忘れていることが多く、思い出すのにあちこち歩いたりしてみました。懐かしい人はおらず、暖かい家もありませんでした。
“あの小さなマカロン屋さんはいつからあるのだろう?”
“お店の中に赤ちゃんがいるね”
“いつでもマカロンが食べられるなんてなんて贅沢なの!”
わたしは淡いグリーンのマカロンにするわ、そう思って、店の扉をぐいと押しました。
carrots
長い長いにんじんの葉は、細かく切ったにんじんと一緒に揚げてみた。うっすらと見える赤と緑の色がきれい。暖かい昼下がり、窓の外の音もない。
circle

コーヒーの香りに誘われて、彼女が2階から降りてくる。けれど彼女はコーヒーを飲むことができないので、わたしが飲んでいる姿をチラッと見ただけで、そのままサークルの中に入ってしまう。大事な箇所が抜け落ちた円の中、彼女は気持ちよさそうに昼寝をしはじめる。そして出来立てのまっさらな夢で、その穴をどんどん埋めてゆく。
I was late to the time I promised

約束の時間に遅れてしまいました。ごめんなさい。バスが時刻通りに来なかったのです。しかしそんなことは言い訳ですね。
at market
花がつき始めている葉と、めいっぱい膨らんだ豆を選んで、袋に詰めてもらう。立ち止まって話する人達はそんなにいなかったけど、皆足早に、でも勢いをもって、それぞれの買い物をしていた。花が並んでいる様子はやっぱりきれいだったし、テイクアウェイのスープショップはいつも通り人気だった。少し遠回りをして本屋にだけ寄って帰ることにする。
tea from
届いたお茶は、高く深い山奥から。それは山のあちこちに小さく散らばる茶畑から集めて作られる。「霜がついてしまったため外へは出すことができなくなったけど、揉まずにさっと乾かしてみたら、うまくいったよ」との手紙が添えられていた。湯に浸すようなくらいの短い時間で淹れてみる。たしかに、甘く甘くトロリとした味だった。
