egg’s wedding

たまごの結婚式に招待される。きれいなシルバーのアクセサリーをつけて、照れくさそうにしているたまごは、いつもとぜんぜん違って見えた。神父はずいぶんと年季の入ったスプーン。だけど普段は本に挟むしおりとして活躍しているそう。

bouquet

淡い色をした長いトンネルを歩いている。天井からは時折花びらが降ってくる。地面はその降り積もった花びらで絨毯のようになっており、またそれらはかすかな温度と湿度を足元に伝えてくる。感じるか感じないかくらいの香りの中で、はるか遠くに見える出口であろう光の方に向かう。手に持ったカゴには、朝、濾してきたジュウスと、やや焦がし気味に焼けたクッキーが入っている。もうかなりお腹が空いたよ。

strawberry winter

いちご冬といちご春。いちごを集めてずいぶんと経ちます。最初は、ある寒い冬の雪の中、みんなで雪合戦していた時に見つけました。冷たく半分凍った、真っ白な雪に光る赤い粒は、それはそれは甘かったです。

strawberries

いちごを市場で二箱買ってきて、さて、どうしよう。眺めながらもひとつ、またひとつとつまむ。クレープを焼いたら、その上に並べて、くるくる巻いて。ジュースになったら、そのつぶつぶが好き。ひと瓶分くらいはジャムにしてみることにする。

how to make cotton candy

部屋の中にプカプカ浮かんでいる綿あめを、ちぎってはぎゅっと握って、ちぎってはぎゅっと握って、丸めて丸めて、飴にする。少しいびつな形をした白い小石のような、甘い塊。それをさっとキャンドルの火に通し、かすかな香ばしさととろみを付け加え、口の中に入れる。やっぱりそれは綿あめ、さっと溶けるようになくなってしまう。

heavy rain

ひどい雨が降っていたけど明日食べるパンがないので、外へ出た。風がとても強くて、傘はまったく役に立たなかった。嫌になるくらいびしょ濡れになって、やっとこさ辿り着いたのに、店の扉には「今日は臨時休業します」と張り紙が貼られていた。

after dark

冬の入り口に、もうすぐ大嵐がやってくると聞いたから、わたしは街を離れることにした。小さなカバンに荷物を詰めて、真夜中の列車に飛び乗った。慣れない土地と、慣れない日々。今度こそ冬はもう終わらないのではないかと思えたけれど、そんなことはない、春はきちんとやってくる。
久しぶりに帰ってきた家は、春に満ちていた。「あなたが家を開けている間に、新しい住人が増えてるよ」と管理人さんに言われた。

my house

道路に面してガラスの壁。カウンターと椅子が並んでいて、外を眺めながらお茶を飲んでもらう。入り口入ってすぐ前にはその日に届いた花が少し。この花を選びに毎日来る人もいる。そしてわたしが座っているのは、もう一つのカウンターの奥。背中にはハーブの瓶となんだかわからないものが並んでいる棚。目の前にはその日のハーブティーが置いてある。お茶を飲んでひとことおしゃべりして帰っていく人も。部屋の真ん中には少し大きめのテーブル。

the story about spring

春がのびのびしているから、ついつい話しかけてしまう。もちろん彼らの返事もとても機嫌がよい。温かいお茶をポットにたくさん作っては、すぐ飲み干し。柔らかく、ちょっぴり苦い葉っぱに、オイルとレモンと塩をかけて、たくさん食べる。開け放った窓からは、小さな客がやってくる。

beginning 2021.1.13-1.20

灯りの暖かいこと。光の輝きが放つもの。

矢印の向き。

炎。その力の無限さ。

山を登るのが楽しみだったはずなのに、その思いもしなかった高さと険しさに、山のことを忘れて、登る辛さをクローズアップする。そうでなく、山のことを今一度考えてみよ。というのも、実は何の解決にもなっていない。

新しい月に祈ること – pray to the new moon.

最初の最後の一歩を踏み出すことにする。

reborn 2020.12.15-12.21

外の世界
熱意を測る装置。どうやら今わたしはだいぶんカッカしているみたい。水の中に飛び込んで、いったん冷やしてみることにする?

ついてゆく。
新しい。混沌。
新しい。

All or nothing 2020.12.08-12.14

標本1:「再生」

自らが見ている視点が全てであるという、ほぼ誰にでも共通にある概念を覆すこと。自らの境界線を改めて引きなおすこと。またはその手段。

The new sound is… 新しい音がする(2017):再生、再構築、リメイク、スタート、新しい、変化、次へ

キュッときつく結ばれた赤い糸は、危ういラインを描きながらどこへたどり着こうとしているのか。

その行方は神のみぞ知る。

キャンドルの灯りをじっと眺めていたら、違う世界に来ていた。それはよくあることで、戻る術も知っているのだけれど、今日は少しだけあたりを散歩してみることにした。知らない場所に、知らない建物、そして知らない人々。彼らは彼らのいつもの世界でいつものように過ごしているのだが、わたしにとっては全く不自然な世界でしかない。ここの常識は、わたしにとっては非常識。あり得ないことが目の前で繰り広げられている。

stars in the sky 2020.11.30-12.07

ずいぶん長い間、あの山には登ったことがなかったのです。いつも麓から眺めるだけで。でも青い街は永遠に日がくれないから、ゆっくり時間をかけて登っても大丈夫だろうと。だから明日は山に登ります。今夜はその準備をしようかな。

クォーツのひとりごと「楽譜も天使もあまりにも歌声が美しすぎるから、演奏しながら寝てしまいそう…」

sing with angel。楽譜が歌う。あまりにも綺麗な声に、天使がやってきて、一緒に歌い出しました。それはまるで雲の間からさす光のような、すうっと降りてくる、でも柔らかくてあたたかいハーモニー。クォーツもいつの間にかそばにいてキラキラな伴奏をしはじめました。音の粒はガラスの漏斗を伝って、よりいっそう響き渡り、この部屋いっぱいに満たしていきました。

話しこんで時間が過ぎるのもわからず、気づけばきっと今は真夜中。周りが静かすぎて、わたしたちだけが起きているは明らかだった。キャンドルはあと少ししか残っていない。逆に積もり積もった話はずいぶんな高さになっていた。

標本2:「change」

『変化』 … たまご、幼虫、さなぎ、成虫。

昨日、焼きそばを作って食べた。
今日の遅刻。
明日は発熱、インフルエンザを発症する。

The new sound is… 新しい音がする(2017):再生、再構築、リメイク、スタート、新しい、変化、次へ

ミルクを温めようとしてうっかり吹きこぼしてしまうことは、よくあること。
パンが知らぬ間にかじられていることは、よくあること。
メガネをしたままお風呂に入ってしまうことは、よくあること。

すっかり街の人、といった風に、この頃石畳の上しか歩いていない気がする。踏み締める草の香りや、木々がサワサワおしゃべりする音、水辺の緩い土手、会っていない。小さく遠くなってしまっているわたしは、ちょっと見えにくい。

今日はどれを使おうかな。

answer is 2020.11.12-11.29

扉を開けた向こうには、静かな空間が存在した。暗すぎることもなく、かといって明るすぎることもない、ちょうどいい光と、かすかに流れる風。しかし、何よりはっとしたのは、その風にのって漂っていたハーブの香りだった。

新しいクッションは古い布をつぎはぎしたもの。もっぱら最近はそれを抱え込んでウトウトしている。ガサガサの毛布とオンボロのソファ、そしてこのクッション。ずいぶんと寒くなったこの頃の仲間たち。窓からの光は薄いカーテンを通してさらに弱くなる。またすぐに夜になる。

question 2020.11.15-11.21

tea set?

ちゃんとしたお茶と、綿飴をちぎって丸めたもの、お茶を飲む前に唱える変な呪文が書き記された紙。

ケーキはにんじん。プリンはかぼちゃ。北へ向かう道はチョコレートで埋め尽くされている。

bubble has burst

1年ほど前からある不思議な場所。外からは中の様子があまり伺えない。重そうな扉。思い切って明日は開けてみることにする。

キッチンの棚の中は空っぽだし、手紙を書きたいがもう便箋も切れている。そういえばインクもほとんどなかったな。新月の漆黒をインクに足したいから、新しいものを買いに行っておかないといけない。

go to the moon 2020.11.08-11.14

永遠に観光客のような気がする。

自転車に乗って少し遠くまで。大好きなチーズケーキを買いに。焼き上がりの時間を知っているから、それに合わせて行く。同じような人たちがいて、店の前はちょっとばかり人だかりができている。なんとなくみんな知り合いみたいになっていて、ご挨拶してみたり。

小さな、しかし偉大なる友…わたしはずっとひとりぼっちでした。屋根裏に積み上げられていた本を持って降りてきては読み、おばあさまが使っていたというキレイな絵の具で絵を描いて、近所のお菓子屋さんでキャンディを袋いっぱいに詰めたりしましたが、誰とも話すことはありませんでした。わたしはある夜、思い切って月に話しかけてみました。「ともだちがほしいのです」と。わたしが月にお願い事をしたのは、後にも先にも、あの時一度きりです。次の朝、わたしは枕元でする小さな声で、目が覚めました。「おはよう。おはよう」小さな小さなイエス様が、わたしに呼びかけていました。

with him (her?)

美術館から家に帰ってくるのに道に迷ってしまい、たどり着くのに一週間近くかかってしまったようだ。たまった郵便物の量でそれを把握する。久しぶりな感じで少しだけ家とのぎこちない雰囲気があったけれど、窓を開け放し、いつものお茶をいれて、いつものおやつを一つジャーから出したら、だいたい元どおりになった。

new cycle 2020.10.31-11.07

暗闇の中の揺れ3/3
暗闇の中の揺れ2/3
暗闇の中の揺れ1/3

ほぼ人のいない美術館は、意外に賑やかで、いろんなものに耳を澄ませるのがおもしろい。しかし昨日夜更かししたわたしは、聞いているふりをして、実は寝ていた。そんなのバレていただろうけど。

herbal days 2020.10.23-10.30

朝になったから、そろそろ眠ろうとベッドにもぐりこんだ。次、目を覚ますのは、15日後。真っ暗闇がトントンと窓を叩きにくる。月はすっかり消えているだろう。

Q&A … のその後
いろいろ問いかけてみたものの、結局、夜更けからの答えはなかったので、僕(ペンギン)は、自分で調べてみることにした。僕はとてもとてもたくさんの本を読んだ。その読み終わった本で、部屋がどんどん埋め尽くされるくらいに。しかし、どれだけ本が積み上がっても、どれだけそこで眠ったり、そこで食べたりしても、答えだけはいっこうに、見つからなかった。積み上げられた本の隙間に見える、透き通った蒼い天井から、外の世界を想像する。まだ触れたことのない、その空気はどんなものなのだろう? そして、そこには、ここでは見つからない答えがあるのだろうか? もうそろそろ、僕は外に出てもいいのかもしれなかった。この部屋は完璧に安全で美しく、限りなく居心地のいいものだ。けれど、きっとここだけでは、僕の何かが欠けたままで、そしておそらく探している答えも、見つからない。しかしここから出るには、このキレイな部屋を壊さなければならなかった。もちろん、壊れた部屋は、もう二度と元には戻せない。そう、僕は、まったく初めての新しい場所で、一人立ち尽くすことになる。でもそれでよかった。ここでだって、もうずっと長い間一人だったのだ。僕は棚に大切に置いてあった「開きの石」をつかんだ。そしてそれをギュッと力強く、握りしめた。

in the knowledge dome

「ついておいでよ」と言われて、そのままに緑奥深く。初めて会った人だったから一瞬躊躇したけれど、彼の右手の人差し指に描かれた模様の意味をわたしは知っていたので、この人の導きに従うしかなかった。そろそろ知らなくてはいけない。それはわかっていた。でもここまでわたしは伸ばし伸ばしにしてきた。きっとあの湖の水は相当冷たい。そしてあまり透明度が高くないから、先がよく見えない。わたしはかなりの怖がりだし、泳ぐのだって全然得意じゃない。できることなら、くるりと向きを変えて家に帰りたい。そうだとしても、人にはどうしたって避けられないことが一つや二つはある。その一つがどうにもこうにももう目の前にやってきてしまった、ということ。

明日はお届けものを持っていく日だ。今日は1日かけてその準備。

ブラックマローの湯船の中。微かに香る部屋。

rabbit’s dance

new world 2020.10.17-10.22

大きな二羽の鳥が窓辺にやってきて、大きな声でおしゃべりをしている。こっちのことにはまったくお構いなしで。近頃この辺りで話題になっている新しい靴屋のことを言っているが、あなたたち靴いらないよね?と、思うのだけれど。

メンテナンスの日。電車とトラムを乗り継いで、治療院へ。受付の女の子はいつものように静かな笑顔で迎えてくれ、今日のわたしにどんな治療が必要かを、組み立てる。彼女は話しながらも的確で無駄のない動きをし、温かい(治療の前に飲んでおくべき)お茶を出してくれた。前回の治療から自分の様子がどうだったかを彼女に話し、先生に呼んでもらうまで待つ。いや、どちらかというと、先生が治療室で、この一連の前作業が終わるのを待っている、という感じ。

しばらく離れていた家に戻ると、すっかり季節は移り変わっていた。誰もいない間に回復し、改めて新鮮な香りを漂わせた部屋は、まるで引っ越してきたばかりの時のようだった。新しいのに懐かしい、今まで何度となく触れた気配。目を瞑って「ただいま」と言ってみる。もう少しだけ、今度はここで休息させて欲しい。

Invisible friend 2020.10.14

招待状が少し前に来て、それに「欠席」と返信したはずなのに「ありがとうございました」とチケットがさらに届いた。誰かのパーティーらしい。そういう賑やかなところは勘弁して欲しいから、行くつもりはなかったけれど、その日になったら「お迎えにあがりましたよ」と今度は車が家の前につけられた。

angel in the photo