できあがったシロップはとても甘くちょっと口の中がもたついてしまうくらいでどうしたものかと思ったけれど、彼女はぜんぜん平気なようだった。
rain
窓の外の景色は霧でよく見えなくて、なんとも幸せな朝だと思う。
lemon sirop
a cat
雨上がりの駐車場には泥でできた猫の足跡があった。それは端まで行って池のところで終わっていたけれど、まさか水の中に入ったわけではないだろうね。
new place
鍵が空いているようだったので入ってみたけれど、誰もいなかった。
long time no see
long time no see
now and then
べつにたいした茶葉でもありませんが、あたたかくいれましたのでよかったらどうぞ飲んでください。いろいろ堅苦しくしないという、堅苦しさが逆にありますね。申し訳ありません。なんてことないのです。ほんとうになんてことないのです。
meeting
待ち合わせは、遥か遠い森の中。
rainy day
気づけば外は雨が降っていて、日も暮れかけていた。
see you
またね。
movie to movie
映画館から映画館へ。ポップコーンを食べながら、甘いキャラメルの香りを漂わせながら。悲惨な物語は、笑いの止まらないコメディに。さっき青い目をしていた主人公は、走り回るライオンになって。ひとつひとつ越えていく。昨日は泣いていたけれど、今日はそうでもない。
monday escape
旅の出発は月曜日に。
2023 sep full moon
クロスワード・パズルを解きながら、わたしたちはお互いにそのキーワードについて思いつく話をしていった。わたしの話はなんのオチもなくガッカリするくらいつまらない小話だったが、彼女の話はひとつひとつがとても長く、そしてそれらは必ずと言っていいほど何かしらの悩み事に繋がっていくものだった。途中ハンバーガーとアイスティーが運ばれてきたけれど、お構いなしに彼女は話し続け、そのままランチは置き去りに、しかしパズルのマスはどんどん埋められていった。現れてくる言葉に一喜一憂し、気持ちの行ったり来たりを繰り返す、結論の出ない堂々巡りをしながら、もう何も書き込むところがないパズルが出来上がった時ですら、彼女は嘆いていた。
すっかり冷たくなってしまったハンバーガーは塩気が強く感じられるしょっぱいもので、氷が溶けてぬるくなってしまったアイスティーはぼんやりと味気なかった。しかしわたしは硬めのハンバーガーだって好きだし、それはそれで味わうものでもあった。揺れ動く彼女の振り幅ゆえに、わたしは彼女と交わることができた。彼女の話は、わたしの話でもあった。彼女の不完全さは多くのものを受け入れ、その中にはわたしもいた。その広い海の中では、誰もがあたたかく泳ぐことができた。
ただ彼女だけが、それを知らないのだった。
new moon 20230915
約束の時間に約束の場所へ行ってみたけれど、そこには誰もいなかった。 / こっそり話した願いごとは、やはり誰にも届かない。 / ほんのりと温かい甘い甘いスープ。 / 彼女があくびをする時。 / かばんの中から古い手紙を取り出して読み返す。もう幾度となく手に取られた便箋は、すっかりくたびれよれよれになってしまった。それでもそれを読む時、再び同じ感情が呼び起こされる。 / 約束の時間はわたしがひとりで勝手に決めたもので、約束の場所もわたしがひとりで勝手に決めたものだった。相手からはなんの返事もなかった。それはもちろん、約束とは到底言えないものだった。
today I went to the museum
each other
待ちくたびれた。お腹が空きすぎると眠くなる。
each other
あわてて帰ってみたものの、家に着く頃にはすっかり日は暮れていて、お腹を空かせて待ちくたびれたであろう彼女はソファで寝てしまっていた。買ってきたサンドイッチと温かいお茶の入ったポットをテーブルに並べ、彼女が起きるまで待つことにした。
dokin donuts
作りすぎてしまったドーナツは、粉にミルクを入れ忘れ、揚げすぎて黒っぽく、形はいびつで、ボソボソしていた。
another scene 2023 sep full moon
another day
寄り道の帰り道。