
約束の時間に約束の場所へ行ってみたけれど、そこには誰もいなかった。 / こっそり話した願いごとは、やはり誰にも届かない。 / ほんのりと温かい甘い甘いスープ。 / 彼女があくびをする時。 / かばんの中から古い手紙を取り出して読み返す。もう幾度となく手に取られた便箋は、すっかりくたびれよれよれになってしまった。それでもそれを読む時、再び同じ感情が呼び起こされる。 / 約束の時間はわたしがひとりで勝手に決めたもので、約束の場所もわたしがひとりで勝手に決めたものだった。相手からはなんの返事もなかった。それはもちろん、約束とは到底言えないものだった。2023.9.15