
today I went to the museum


待ちくたびれた。お腹が空きすぎると眠くなる。
あわてて帰ってみたものの、家に着く頃にはすっかり日は暮れていて、お腹を空かせて待ちくたびれたであろう彼女はソファで寝てしまっていた。買ってきたサンドイッチと温かいお茶の入ったポットをテーブルに並べ、彼女が起きるまで待つことにした。
作りすぎてしまったドーナツは、粉にミルクを入れ忘れ、揚げすぎて黒っぽく、形はいびつで、ボソボソしていた。


寄り道の帰り道。
夏のおいてけぼり。
真夜中のプールには誰もいなくて、わたしと彼女のふたりだけ。
タ・トゥーは旅に出ると言ってある日突然いなくなってしまったが、たくさんの桃を置いていったから、その香りの足跡がはっきり残っていて、それをたどってすぐに居場所を見つけられてしまう。

また別の物語。
ティーバッグのお茶はジンジャーがしっかり効いていて、それはひりひりするくらい。

またもうひとつの景色。

閉じ込められて動けない。
自転車が大きくカーブを曲がる時、カゴの中の入れていた水筒が外に落ちそうになって、思わず手を伸ばしてみたけれど。/ 約束の時間には到底間に合いそうになかったが、遅れるということを伝える手段もなく、心の中でひたすら謝り続けるしかできなかった。/ 薄い黄緑色をしたお茶は、クリアな見た目とは違って、しっかり口の中に風味が残る。その余韻。/ 雨が勢いよく降ってきて、その激しさに彼は怖いと言って立ち止まる。/ その断片は、断片以上でもなく断片以下でもないから。
久しぶりに纏うのは、ベチバー、フランキンセンスの香り。

レモンクリームのタルトは、すっぱくて甘くてずっしりと重さ。その鮮やかな浮かれた太陽には、しあわせと呼ばれるものがみっちり詰まっていたが、それはわたしのどこかおぼろげなところから、チクリとする痛みを引っ張り出す。
刺さった針を抜くために、お茶を何煎も重ねた。しかしどれだけしっかり濃く出しても、その痛みはまるで消えなかった。そこには暗くて苦いお茶の入ったカップが、ただただ並んでゆくだけ。

because of summer / 夏のせい (2016)
002 … 冷静と情熱
衝動
秘密
緊張
沈黙
麻痺
刹那
少年は、隣の家に越してきた双子の少女と自転車に乗って川へ泳ぎに出かけるが、途中でタイヤがパンクして動けなくなってしまう。すぐに少女の一人が助けを求めに街へ戻ったものの、いっこうに帰ってこない。残された二人は熱い日照りの中、隠れる場所もなく、ひたすらくたびれてゆく。次、もうひとつなにか動きを取る方がいいのか、それともおとなしく待つ方がいいのか。彼らはそれを決めかねていた。しかし太陽はその様子を、ただじっと見ているだけだった。
開け放たれた窓からは微かにカーテンを揺らす風以外なにも入ってこない静かな夜、一日太陽を浴びて頬がじんわり火照ったままのわたしは、鈍い痛みを頭の奥に感じながら少し高揚している。

その時なりの精いっぱいが並ぶ。