orange juice

ぎゅうぎゅうといくつも絞ったら部屋の中いっぱいに柑橘の匂いが広がって、その小さな小さな香りの粒(ほんの少し刺激的)の海の中、わたしはそっと目を瞑る。大きさの合っていない絞り器であちこちずらしながら絞っていたが、すっかり手首が痛くなって、まだ絞りきれていない分はもう食べてしまうことにした。なんだかオレンジ色って元気が出る色だな、いやイエローだってポップでパワフルな感じだし、そう言うならグリーンは清々しい生命力を持ってるよ、と、どうでもいいことを言い合って、そんな風に話はいつもよくわからないところに歩いていく。できあがったジュースにほんの少しだけソーダを混ぜてみた。でもそのままの方がよかった。こんなにたくさん絞ったけれど、彼女は柑橘が苦手だから、わたしがひとりで満喫して飲む。