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No.10 – The Light of Truth:真理を照らすための灯り

真理というものがわからない以上、いったい何を照らすのかわからない。

この灯りの入った器は細かい模様が刻まれていて、時にその模様が文字に変わる。
子どもの頃、祖父が書庫で本を探すのについて行き、大きな部屋でたくさんの本に囲まれていた時に、一度だけそれを見たことがある。
見たものの、全く読めない文字だった。
わたしは
「なんて書いてあるの?」
と尋ねたが祖父は
「わかるようになったらわかるよ」
とだけ言い、そしてふっと息を吹きかけ灯りを消した。
灯りが消された途端、文字もあっさりと消えた。

それっきり、文字があらわれるのを見たことがない。

あれはなんだったのか
それは祖父も亡くなってしまった今では確かめようもないけれど、
少なくともそれを知らないからといって、特に変わりもなく
灯りは今日も何かを照らしている。
いつかわたしのわかる文字があらわれ、何か教えてくれるのだろうか。


大きさ:幅9.5cm 高さ4.5cm キャンドルを置くことのできるワイヤー細工つき


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