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No.54 – spring spring

森に雪解けとともに現れる泉があって
その泉の水は温泉でもないのに冷たくなく
フンワリと生温かい
まだまばらに雪の残った森の中で
その小さな水の流れる音を耳にした時
ああ、今年も春がやって来たと思う
泉はわりと豊富にコンコンと湧いていて
それはとてもしっかりしたものなのだけれど
しかし今のところわたし以外にこの泉の話をする人はいない
いつものように水を持てるだけ汲み
春の花に、春のお茶に、そして春の衣服にと使い
わたしは春を思いっきり満喫する
しかし夏になり森が鬱蒼としてくる頃には
泉はどこかに埋もれてしまい、
秋、冬もそのままに姿を隠して
次の春までまたどこかにいってしまう


ガラスボトルに小さな春が入っています

ガラスボトル(ヴィンテージ from フィンランド)
大きさ:縦17cm、横11cm、厚み3.8cm、注ぎ口内径2.8cm

春:デコレーションボウル


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