next new moon in july 2020

singing and dancing

踊ることも歌うこともあまり興味がないので、そういうことは一人の時もしない。この間、部屋にやってきたキツネに一緒に踊ろうと誘われたけど、露骨に嫌な顔をしてしまった。一瞬彼は驚いたけど、その後気にせず一人で踊っていた。

blue time

もうすぐ夜が明ける。
誰にも会わずに旅立つことにする。

it’s raining

雨と雨の合間に買い物に出る。足元にはあちこちに大きな水たまりができている。それを避けるようにひょいひょい歩いていたら、後ろから小さな子の笑う声が聞こえた。

fire

暖炉の火が消えたときに残っていたのはこの実で、これはどうやらこのまえ海で拾った実と同じものなのではないかと思ったのだけれど、2つ集めたという事は3つ目のことを考えなくちゃいけない。そう思うとちょっとめんどうで、もうジャックにあげてしまおうか、となる。

flowers

morning breads

朝、オープンに合わせて店に行き、熱々のパンをもらう。油断するとやけどしそうな湯気をたっぷり含んだパン。それを頬張りながら、冷たい道を歩いて帰ってくるのがなによりいい時間。時々はもう一つパンをもらってそのまま森に行き、お昼までいたりする。冬の森は寒いだけでなく暖かい。街よりもずっとしっとりとした空気で覆われていて、ちょっと自分が乾いていたりする時には、しばらくいるだけでみずみずしくなっていくのがわかるのだ。

pencil

鉛筆を削っていたら、ピンク色の芯が出てきて、その芯は「早く書け、早く書け」という。これはよくあることで、そんな風に物語は始まったりする。

Herbal tea day 9

ハーブティーのふわふわ三角風船。中にはティーバッグがいくつか。ふわふわ軽くて、中の様子がふわふわ感じられて、飲むとふわふわします。

the stars and the clown

ボール紙を切り、銀紙を貼り、それを空に吊るす。それを星と言うそうだ。

couscous salad

ボート乗り場には人が並んでいた。今日は月の最初の営業日だから特別で、乗船者はランチボックスをもらえる。みんなそれを抱えてボートに乗り、ランチをする。ボックスの中身はいつも変わり、今日はクスクスのサラダだった。わたしにとっては大当たり。

i don’t know anything

昨日つぼみだった花が今日は咲いていて、雨に濡れたベンチはカタツムリに先に越されて、バスはどうやら遅れているらしい。どれもわたしにはどうしようもないこと。明日のつぼみに挨拶して、ベンチの横で水たまりにちょっと落書きをし、歩いて帰ることにする。

knitting

新しいマフラーができた。わたしはヘタクソで糸を引く力が強いから、どうしても目の詰まった硬いものが出来上がる。首に巻いてゴワッとどうもぎこちなく、色すらもちょっとよそ行きのように振る舞われる。いつまでも誰にもプレゼントすることができない。

today’s cooking

クミンシードとコリアンダーシード、ブラックペッパーを乾煎りし、その後挽く。

in the heavy rain

ひどい雨が降っていた。すべてが白く見えにくく、聞こえにくかった。それは余計なものを覆い、純粋な音だけ残し、わたしは雨でずいぶん楽になった。

in the mirror

鏡の中に手を伸ばし、つかんだものはなんだったのか。小さなシャボン玉。虹の端っこ。博士のメガネ。メガネは真理を見通すから使わない方がいいです。

Herbal tea day 11

11th day。少し動くだけでもじっとり汗ばむ日。風の流れはなく、緑の圧力がすごい。暑い暑い中、しかし自分の芯は冷たい感覚があるので今日のお茶をふうふう言いながら飲む。じんわり中が緩む。窓から見えるのは、広場の噴水で遊ぶ子供たち。小さなテントの下、誰かとおしゃべりするアイスクリーム屋さん。お茶と交換にアイスクリームをもらいに行こうかな、と思ったけれど、また体が冷たくなってしまうかな。

in my dream

瓶の中のビスケットが明らかに減っているとき、それが誰の仕業かはっきりわかっているのだけれど、いちおう知らないふりをして、また朝から焼いてみる。時々ある、習慣のひとつ。

milk

今朝届いていたミルクはどうやら最後のよう。彼女ももうゆっくり休んでくれたらな、と思う。

one day

手紙を出しに郵便局へ行く。今日は寒く、北風がピープー顔にあたるのが冷たい。マフラーはしてきたが、帽子もかぶってくればよかった。今にも雪が降ってきそうなどんよりとした空を眺め、道の端に溜まった落ち葉をザクザク踏みながら、少し遠い道のりを歩く。ポストは家のすぐそばにあるが、わたしは郵便局へ行く。郵便局の受付カウンターの隅にちょこんと置いてある、局長が焼いたクッキーを一緒に入れて送るから。彼の焼菓子はスペシャル。およそ月に一度送る手紙はいつも同じ宛先。聞きたいことを詰め込んで、答えをぼんやり待つ。