Second to last move

最後から二番目の引越しをしたとき、何もかもいったん無しにしたかった。だからわたしは身の回りのあらゆるものを小さくした。小さなサイズの冷蔵庫、小さなサイズの洗濯機、ベッドも小さく、寝返りすると転げ落ちてしまうくらいの。生活は最小限の必須で行うことができる、すべてをいつも把握して活用する、その豊かさを思った。しかし過ごした実際は、豊かさとは真反対のおそまつな日常で、食べることも寝ることも掃除することももはや窮屈と言っていいくらいの欠け落ちた日々だった。いつまで経っても年月はいっこうに進むことはなく、小さな箱の中で小さな同じ動きを繰り返していた。もっともその頃のわたしはそんなことには微塵も気づいていなかったが。