my favorite

(1)坂をずんずんのぼった先にあるケーキショップ。いつも多くの人で賑わっていて、遅めの時間に行くとショーケースには何も残っていなかったりする。彼女が「今夜行くよ」と急に連絡してきた。「あのお店のケーキとたっぷりの紅茶で一晩中おしゃべりしたいよね」とも。そんなこと言われたって。あそこのケーキがそう簡単に買えないのは自分だってよく知ってるくせに。わたしはブツブツひとりごとを言いながら(本人には言えない)、しかしとりあえず店に行くことにした。