I pressed the button on the player and started playing a song, but

I pressed the button on the player

プレイヤーのボタンを押して曲をかけ始めたが、知らない間に終わっていた。それはいつものことだった。最初の曲が終わるまでに、耳はたいていどこかに行った。知っているのは最初の曲の最初のフレーズ。それ以降はいつだって、初めて聴く音だった。
あらゆる音で満ち溢れているこの世界を、わたしは勝手にチューニングする。そしてそのほとんどを削除する。さらにはその選び取った音さえも調整し、そのまま、自分だけの時間を自分だけの場所で過ごす。やっかいなことに、それはほぼ無意識に行われる。
その慣れと居心地と都合のよさは、いつもの自分を確認し、安心するのにはとても良かった。しかしそれと引き換えに、わたしは目の前に広がる多くのことを、無邪気に取りこぼしているのかもしれなかった。