I go home

向かいに座っている人はかなり機嫌が悪そうに本を読んでいた。本の内容がそうなのかそれともこの人がそうなのか、どちらなのかはわからなかったが、それはわたしにとって居心地が悪くて、息をすることさえ遠慮気味になった。列車の目的地まではまだまだ遠かった。周りを見渡してみたけれど他に空いている席はなく、もうしばらくこのままの旅を続けるしかなさそうだった。窓から見える景色を楽しむこともできず、耳に流れてくる音楽に浸ることもできず、目を瞑ってみても、まったく眠くなかった。そうやって今日もまたわたしは自分の弱さを恨むこととなった。