Antti Nurmesniemi

定番のポットを見つけたのは、ぎゅうぎゅうに器が並んでいた、でもとても整然としたガラス張りの店。
やや神経質そうなマダムは、わたしが入るなり「それ危ないから下ろして…」とリュックサックを指し、もちろん、とわたしはそれをすぐに床に置いた。店の中はヴィンテージの名のある器ばかりで、おおよそわたしが探しているようなものはなかったけれど、やっぱりこのポットを見つけたら(それもこの色だったし、小さいサイズの方だったし、とても状態はよかったし)持って帰りたいと思ってしまった。他にかわいいものたちをいくつか。帰る頃にはマダムは陽気に喋るようになっていた。

小さな街は歩いて回るのに十分な大きさで、さっき歩いたところをまた歩いたりする。今日は休業なのか誰もいないオフィス、ここもガラス張りだから中がよく見えた。ちょっとした飲み物が用意できるというくらいのミニマムキッチン、このポットの赤が置かれていた。現役なんだろう。