
大切なことをひとつひとつしまっておいたら、いつの間にか溢れてしまいそうになっていた。今一度並べて眺めてみたけれど、やっぱりどれも大切で、いらないものはなにひとつなかった。
明日、とっても大切なことを教えてくれるという人に会う。今ここにある大切なことたちと、その人の言うとっても大切なことというのは、どう違うのだろう。
大切なことたちで溢れてしまいそうになっているボウルを抱えて、わたしは水に潜った。大切なことたちは好き勝手にボウルから離れて漂いはじめる。それを必死に抑えようとジタバタするわたしが水に動きを起こし、大切なことたちはさらにあちこちと散らばっていった。
わたしは慌てている。
わたしはどうして水に潜ったりなどしたのだろう。
