
わたしたちはもう何時間もそこに座って話し続けていて、それはカジュアルな意見の交換だったり、小さな秘密の告白だったり、はたまた短い沈黙だったりいろいろだったが、しかし──この時間の終わりの気配のようなものだけは、どこにも見当たらなかった。
時折頬を撫でる風に「気持ちいいね」とか「春の匂いがするね」とか言ってみたりもしていたけれど、たぶんほんとうはわたしたちのどちらもそんなことには上の空で、お互いがお互いの話していることに夢中だった。
太陽の光が傾き、ちょっと寒くなって、もはや相手の顔が暗くてよく見えなくなっているにも関わらず、わたしたちはこの時間が終わらないことを、望み続けていた。