20241231

それは小さなおまじないのようなもの。
すっかり冷たくなったお茶にひと口触れたら、話しかけたくなった。残ったケーキはジンジャーとナツメッグの匂い。テーブルの上のメモは断片の積み重ね。

ストーブの上のポットから、ゆるやかに湯気が立ちのぼる。水の粒は、部屋の中をあちこち気ままに漂う。まるでお構いなしのその行方を、わたしはただぼんやりと追いかけていた。
そんなことをしているうちに、またそのままうやむやにしてしまいそうになる。

あの湯気のように曖昧で、消えてしまいそうなほど頼りない。

それは、ケーキと一緒に飲み込むか、メモの隅にそっと書き足すか。どちらも悪くはなかった。すぐに重なりかき消される。そうすればおまじないは誰にも気づかれずに、今度こそ話せるのかもしれなかった。