20241116 full moon

夕方の霞んだ空気は徐々に光と色を失い、冷たくなりつつあった。膨らみきれなかった中途半端な風船たちは、部屋を覆う淡い影と交わり、その輪郭をさらに曖昧にしていった。
ほんの息一つでコロコロ転がり、手を伸ばしても届かなくなる、ほとんど感じられないほどの静かな距離。明日にはしぼんで消えてしまう、今だけそこにある重さ。どうしてもそれは掴めない、掴まない。
虚ろな入れ物に潜ませたその秘密は、誰にも打ち明けられないまま満ちていき、そして欠けていく。
そんな不確かであることだけが確かだということ。